美の継承・故郷・住居の灯り・ “陰影礼賛”=“日本の民家”

 人類の造形は人間の歴史とともに始まる。それは、生活のための衣食住、生存のための呪術、神仏に祈る等の造形、さらに生きることへの自律世界の創造や社会的諸活動の造形等、次々に世界各地でさまざまな形で展開されてきたのである。

 それらの造形はすべて美術に他ならず、目で見て確かめることが出来る人間の歴史そのものであり、人間の歴史そのものであり、人間の生の真実をありのままに物語るものである。作者の個性表現という点では、絵画や彫刻に特色が見られるが、建築には絵画や彫刻にない特色があり、立体である点で共通している彫刻や工芸とも大きく異なるのである。

 それは人間が内部空間に入り込む、全身で感じとれるような視覚にあること、絵画、彫刻、工芸を問わずあらゆる分野を含む総合的な造形であること、さらに原則として特定の場に固定し、独立した存在であるにとどまらず、周囲の環境との関りという課題を背負っていることである。

 建築は、構造条件に適合することが不可欠であり、これが形の構成美に関ることも特色である。絵画とか工芸とかの分野分類は、たまたま近代以後の文化史体系の中で作られたもので、本来造形はひとつであるという認識の上で、建築の特色を改めて確認し、その上で「民家の造形」について考えてみたいのである。

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